「出来損ないの俺たちは」

 

 

「出来損ないの俺たちは」

 

 

不満も鬱憤も

我慢も苛立ちも

それでも向かい続ける苦痛


ずっと、あえいでいた

体も心も

ずっと、あえいでいた

気持ちも魂も

悲鳴を上げていた

体も心も

聞こえないフリをしていた

気持ちも魂も

鳴いていた

泣いていた


出来損ないの俺たちは

それでも生きていく

 

 

「土曜日の駅」

 

 

「土曜日の駅」

 

 

閑散としたホーム

日差しは地に届かない

分厚い雲におおわれて


人はみな

誇らしげに生きている

なんて、ちっぽけな世界

なんて、ちっぽけな自分

そうやって妬んでる


そんな自分にも日は注ぐ

雲の切れ間から

照らされたと思ったら、途端に

また雲に隠れ

冷たい風だけが残っている

太陽にさえも見放されたような

惨めで弱々しい自分

また日が差さないかと

女々しく空を見上げる


唐突に気付く

自分が嫌いなのだと

 

 

「我慢という力」

 

 

「我慢という力」

 


欲望に打ち勝つためには、我慢という力が必要だ

我慢という力を得るためには、欲望のことを知らなければならない

欲望のことを知るためには、欲望に接しなければならない

欲望に接するためには、我慢してはならない

我慢しないためには、我慢という力を捨てなければならない

我慢という力を捨てれば、欲望には打ち勝てない

欲望に打ち勝つためには、我慢という力が必要だ

欲望を知らずして、我慢することはできない

我慢を知らずとも、欲望を知ることはできる

欲望は常にそこにあり、我慢は欲望の先にある

我慢という力を得るのは、少しだけ大変だ

欲望に打ち勝つためには?

 

 

「ヒザシ ヒカリ」

 

 

「ヒザシ ヒカリ」

 

 

日差しに包まれた部屋で

目を閉じて

まぶたの裏に届く光

あふれてくる言葉と向かい

空っぽの部屋

誰もいない部屋

音に包まれた白い世界に

通り過ぎ、かすめすぎていく言葉の流れに

目を開け、光に漂うチリを追いかけ

言葉に引き出された想いを抱え

光に包まれた

この部屋で

 

 

「蛇口」

 

 

「蛇口」

 

 

人はみな、才能という貯水槽を持っている

そのバルブは固く閉められ、錠前で止められている

開けるには鍵がいる

人はそれを見つけようとする

それは時間をかければ見つかるが

遠くにあったり

分かりづらいところにあったり

自分の背中にくっついていたり

腸の中にあってしばらく出ないこともある

でも、鍵は見つかる

人は鍵を見つける

見つけようとして時間をかければ、鍵は見つかる

そして、鍵を開く

そしてバルブを回す

人は才能という水を飲む

空になることはない

だが、バルブは閉まっていく

開き続けるにはコツがいる

開け方を忘れると一滴も出なくなってしまう

でも、鍵は開いている

 

 

「多面体」

 

 

「多面体」

 


答えとは多面体

一つの答えに行き着いても

それは無数にあるうちの一面

たった一面は

地平線のように果てしない

広大すぎる答えに目が眩むのなら

ふっと空に浮かび上がってみることだ

ずっとずっと、空の向こうまで浮かび上がって

ずっと、遠くから見つめてみることだ

ずっとずっと、多面体が小さく見えるまで

ずっとずっと、遠くから見つめてみることだ

あれだけ広大で、あれだけたくさんあった答えが

まるで一つのガラス玉に見えるまで