「天秤の気まぐれ」

 

 

「天秤の気まぐれ」

 


楽しさと辛さの天秤

悲しさと嬉しさの天秤

どうにかなるさとどうしようもないさの天秤

感情とは偏ることなのだろうか

どちらかに必ず偏る

天秤のようなもの

それらは全部、中心で交わっていて

それらは全部、いつも傾き続けている

ある時は、こっち

ある時は、そっち

無数の天秤、無数の感情が

同時に、交互に

または、全く関係なしに

いつも傾き続けている

そして、その瞬間ごとの思いを決定する

だから

今はつまらないと思っても

いつの日か、面白いと思う日が来るかもしれないよ

天秤の気まぐれで

 

「遊星歯車」

 

 

「遊星歯車」

 


世界の中心

それはどこにある?

ハブとなるその場所は

世界中にある

地表を覆い尽くす歯車の群れ

さまざまなギヤが回り続ける世界

あるところではしっかりとかみ合い

またあるところでは不協和音を奏で

錆びついた歯車はギィギィ音を立て

かみ合わない歯車は

ただ空回りを続ける

地面に散らばる枯れ葉のように

空を流れる雲のように

似ているようで

同じものは一つもない

それを知ること

それについて考えること

思いを馳せること

同じ歯車は一つもない

それが、個であるということ

それが、自由であるということ

 

「no_title」

 

 

「no_title」

 


そのことは我が毒になって

血の流れに乗ってどんどん満たされる

まるで充電器に立った気分になって

 


/ ※ /

 


増加する心は とりとめもなくて

端からどんどんあふれさせていく

こぼれた心の横を

ゆっくりロバが通り過ぎる

 


/ ※ /

 


埴輪は泣き笑い

ピエロも泣き笑い

 


/ ※ /

 


他人任せの不特定多数が、きっと国を壊す

 


/ ※ /

 


ナノメートルのバランスを

どこまでもいくのだろう

理解不能なサイエンスに怯えながら

 


/ ※ /

 


名も知らぬ歌を聴く

名も知らぬ歌を聴く

夜は

どこまでか

朝は

どこからか


鳩が鳴いている

 

 

「未来/ストレス」

 

 

「未来/ストレス」

 

この輝かしい空のような

未来が待っていればいいのに

現実はただ眩しいだけの

地獄ばかりだ

弱い私たちは

逃げ場所がなければすぐに追い詰められる

だから人は

嫌じゃないことを求めるんだ

人類は自分に害をなすものから

逃げて逃げて

逃げ続けてきたから

そして生き残ってきたから

嫌なことから逃げられない

逃げられない嫌なこと

それを人は

ストレスと呼ぶのだろう

 

「no_title」

 

 

「no_title」

 


世界は大きくて

ボクは小さかった

 


/ ※ /

 


人と人は重なり合う

体も 心も 風景も

 


/ ※ /

 


壊れてほしいと願っていた

壊れたら

戻ってほしいと願っている

 


/ ※ /

 


つぶやいて

とざされたときに

おもいでとともに

ともして

いきづいて

このときを

 


/ ※ /

 


壁に残ったハエの跡

罪悪感を感じるほど

センチメンタルではないけれど

 


/ ※ /

 


私は雑草だ

踏んだことさえ気付かれない

矮小な存在だ

しかし、私は雑草だ

そこら中でせせら笑うように生える

雑草だ

 


/ ※ /

 


銀色の平野が広がっている

その銀色の粒のひとつひとつが

過去の記憶を粉々にした跡だ

その地を私は歩いていく

じゃりじゃりと音を立てながら

 


/ ※ /

 


明るくないといけないのかな

楽しくないといけないのかな

人生って

 


/ ※ /

 


虫は生きようとしていた

助かろうともがいていた

もっとも残酷な方法で

虫は死んだ

 


/ ※ /

 


何故か、笑った口元から作られる

見たこともない、新しい花火

「その人は、全てのことがどうでもいいと思っていたんだ」

 


/ ※ /

 


雨の音 しずくの落ちる音

風の音

鳥の音

葉の音 落ちる音

 


/ ※ /

 


現実ほどひどい物語は存在しないだろう

 


/ ※ /

 


いつか、この職場を辞めるという想像だけが

私の心を軽くしてくれた

(free'ter)

 


/ ※ /

 


貧しくも 正直に

礼儀正しく 潔く

それでいいんだ

何も間違ってない


それでいいんだ

 

/ ※ /

 


人は誰もが、戻れない「イマ」を生きている

過去を覆すためには

「イマ」という「ミライ」しかない

 


/ ※ /

 


みんな小さなシアワセにすがりながら

青い夜空の下で生きている

 


/ ※ /

 


誰かが一番になった姿を見たとき、私は

二番でも、三番でもなく

二百番でも、三百番でもなく

何番とも言われない、ビリっけつの人を思う


彼らは、私である

 

「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」

 

「劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-」

 

以前も書いたが、私は、最近は「原作もの」を見ていない。だが、それでも「これだけは」と押さえておきたい作品はある。「ソードアート・オンライン」(SAO)は、その一つである。いつか原作も読んでみたいと思っているのだが、その「いつか」はいつ来るか分からない。

そんなわけで、アニメ版のことにしか触れられないのだが、この一連のシリーズは、制作陣によって丁寧に計算され、考え尽くされ、そして世界観を大事に作られていることが伝わってくる作品である。また、「仮想現実(バーチャルリアリティ)」という世界を描きながら、それでも「現実(リアル)」から足を離さない、そういうしっかりした軸足を感じられる点も、多くの人に愛される理由の一つではないかと思う。

今回、映画を見るに当たり、一話から見直すことにした。かなりの量だったが、通して見るとまた違った感触が得られ、長いとは感じなかった。映画の時系列が二期終了時の二週間後という設定や、今までのキャラクターが多かれ少なかれ登場していること、何よりアスナが「SAO」時代の記憶を失うことの重さを感じられたという点でも、見直しておいてよかったと思っている。もし映画を見る前に、ネタバレを承知でこの文章を読んで頂いている方には、今からでもテレビシリーズを見直すことを、是非お勧めしたい。

私は、テレビシリーズの中では、最も新しいエピソードの「マザーズ・ロザリオ」編が、特に好きだった。なので、絶対に描いてくれると思っていたシーンが、やっぱり訪れたとき、たった数秒の場面ではあったが、不覚にも少し泣いてしまった。エギル役の安元さんがパンフレットのインタビューでも語っているが、『「SAO」を1期、2期ともに愛してくださっている方であれば絶対に喜ぶような内容』になっているのは、間違いないと思う。

サブタイトルの「ORDINAL SCALE」(OS)は「SAO」や「GGO」と同じくゲームの名前であり、「ORDINAL」には「序数」という意味があるそうだ。「SAO」に対し、「OS」は序数で設計されている、というような話が作中に出てくるのだが、残念ながら私には理解の及ばないところの話である。さらに言えば、実は、私は「ORDINAL」という単語の意味さえ知らず、「普通の」「平凡な」といった意味の「ORDINARY」に近い言葉だと思っていた。なので、映画を見終わり、エイジやユナのことを考えたとき、キリトたちと同じく「SAO」という世界に閉じ込められながら、最前線で派手に戦ったりしなかった人々もたくさんいて、彼らにも自分たちの「SCALE(尺度)」があったという意味も含まれていたのだろうかと思ったりもした。私の勘違いに過ぎないのだが、そう考えてみるのも面白いのではないだろうか。

これからの「VR」「AR」が普及するであろう社会を考える上で、示唆に富む作品である。テレビシリーズ同様、期待に違わない完成度の高さだった。

 

『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』

公開日:2017年2月18日(土)
原作:川原礫
監督:伊藤智彦
脚本:川原礫、伊藤智彦
制作:A-1 Pictures
製作:SAO MOVIE project