「宇宙パトロールルル子」
TRIGGER設立5周年記念作品。
今石洋之監督といえば「グレンラガン」に「キルラキル」、以前記事を書いた「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」などが思い浮かぶ。この「宇宙パトロールルル子」も独特でユーモラスな世界観をハイテンションとスピーディーな演出で突き抜けていく。
ただ、勢いがあっても見る側を置き去りにしない(させない)のは、作品に込められているメッセージがシンプルで見る側の思考を分散させないからだろう。「ルル子」の場合、一見するとただのギャグアニメで実際その通りでもあるのだが、ローカルな街「OGIKUBO」から宇宙にスケールが広がっていく一方、いくら世界が「普通じゃない」方向に向かおうとも、ルル子は最後まで恋する普通の中学生で、その「無価値」な恋のエネルギーが最終的にブラックホールをも凌駕するという、ただそれだけの話なのである。
結果、ある意味究極の「普通」とも言える「王道」展開で悪は倒され、物語は幕を閉じる。深く考えさせる暇も与えないほどのシンプルさが、この作品のいいところだろう。
いわゆる「ガイナ立ち」やキルラキルネタを挟んだり、実写を背景に取り込んだり、見ていてすがすがしいほどに自由であり、だから気楽で見ていて楽しい。遊び心全開の作品も、ときには必要なのである。
11話
『「普通」なんてものは、ほかの誰かが作り上げるものじゃあない。自分が自分で決めることだ。だから一番、大切なんだ』
『刑事や警察に善し悪しなんてない。常にあるのは、人の善し悪しだけだ』
『わかっているじゃないか。本当に大事なものはなくならない。目に見えないものなら、なおさらな』
『初恋をした中学生は無敵だ!相手に思いを伝えることができたのなら、残りの結果はオマケみたいなものだ』
『宇宙パトロールルル子』
放送期間:2016年4月~2016年6月
原作:TRIGGER/今石洋之
監督:今石洋之、雨宮哲(第2)
シリーズ構成:今石洋之
アニメーション制作:TRIGGER